転職で出版社の編集者になるには【未経験の方向け】
出版不況でも、出版社の編集職は根強い人気。メディアとしての信頼度やブランド力は今も高く、仕事でふだん会えない人に会えたり、いろんなところに行けるのも魅力的です。
私は新卒で出版社に入り、一度転職したので、2社で合わせて14年間、在籍していました。雑誌編集部と、書籍編集部、どちらも経験したことをもとに、この記事を書いています。
未経験から出版に転職は可能?
有名な出版社、とくに大手3社の集英社、小学館、講談社などは新卒で入るのも狭き門。
では大手に限らず、出版社の編集部に、未経験からの転職が可能でしょうか?
答えはYES。基本的には、横の移動が多い業界なので難易度は高めかもしれません。
でも、他業種や未経験の転職者も、一定数いるので大丈夫。
20代の未経験者は、異なる業界・業種からのポテンシャル採用が割とよくありました。たとえば大手食品メーカーからファッション編集部に、のような。
志望する媒体のジャンルが本当に好きな熱意があれば、あとは、その人のキャラクターが、そのときの募集ポストに合っているかどうかだと思います。
20代の編集者はハードワークも多いので、タフさも求められます。ハードワークといっても、昔のような連日徹夜みたいなことは今はあまり聞きません。
30代以降の場合は、それまでの専門分野が生かせるかが最大のポイント。
応募する企業の発行物と、自分の専門分野が同じならベスト。たとえ趣味であっても、極めているレベルなら十分に可能性があります。
歴史が趣味で詳しい人が、歴史関係の編集部に入ることも。専門的なポジションなら、趣味であっても、そのジャンルに精通していることで採用された人を何人もみました。でも、本当に「精通している」レベルです。
専門分野がメジャーなジャンルの場合、ハードルは高くなります。たとえば美容雑誌の編集部に入るのに、「コスメ好き」だけではなかなか難しそう。でも例えば、SNSのフォロワーが多い場合は強みになりそう。どの雑誌もSNSに力を入れているので、そのノウハウやスキルは重宝がられます。
出版に転職でプラスとなる、ITと英語
ITに強い人が出版業界には少ないので、それが生かせるポジションにとっては貴重な人材。
出版業界は昔、景気がよかった時代は今より採用が多かったので、その頃入社の人たちの割合が多くなりがち。若い頃からITに馴染んでいない世代の方も多いのです。
全体的に、IT化を求めながらもITに強い人材不足との声をよく聞くので、プログラミングまでできなくても、ある程度のITの知見があればプラスになるはず。
そして英語も、できればプラスになりますが、必須要件に入ってなければできなくても大丈夫。
英語力があれば、海外で話題の本の日本語版を作ることもできるし、リサーチできる情報量が圧倒的に増えます。実際に、ネイティブ並みの英語力がある人は、いろんな場面で英語を生かしています。
逆に、英語力がなくても、ドメスティックな内容の本・雑誌の編集においてはほぼ困りません。海外セレブの写真が載っている雑誌でも、日本にある写真のストック企業からデータを借りています。
出版や雑誌編集に向いている人物像
実は、編集者にはこういう人が多い、という決まったタイプはないと思います。
リア充感にあふれる人、オタクっぽい人、営業トークが上手い人、寡黙な職人タイプ、要領のいい人・悪い人、おしゃれな人、服装に無頓着な人、本当にいろんな人います。
もちろんファッション編集部はオシャレな人が多いけれど、配属されてからオシャレになる人も少なくない印象です。編集者の仕事は多岐に渡るので、いろんな能力が発揮できるのと同時に、いろんな苦手をカバーする方法もある世界です。
とはいえ、根本的に「伝える」ことが上手な人が集まっています。むろん、言語化は得意じゃなくても「なぜかこの人が持ってくるネタには説得力がある」でもOK。
ネタやニーズを察知する、敏感な嗅覚が重要です。さらに、採用試験においては、そのネタの「どういうところが魅力なのか」、「どういう風にマーケットにささりそうなのか」を伝えられる能力、もっと言えば、伝えられそうと面接官に思わせる能力があれば完璧です。
実際に出版社に転職活動してみる
未経験からの転職には、転職サイトやエージェントの登録し、なるべく多くの担当者と面談や話をする必要があります。出版社は業界が小さく仕事内容が独特なので、出版社の転職案件を何度も経験している担当者や、出版社に理解が深い担当者に出会うことが重要です。
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