出版社・マスコミ【就職・新卒採用対策】作文の重要ポイント
出版社やマスコミ受験の際の作文、これは絶対に対策が必要です。
よく言われることですが、自分の定型ストーリーを用意しておくべき。
本当にこれが重要だと思います。
持ちネタを使いまわして、その場で出されるお題と結びつけるのです。
私は新卒マスコミ受験のとき、1つの持ちネタで、受けた作文選考は全て受かりました。
そして最終的に、出版社に入社しています。
ここでは、どういう文章を用意すればよいのか、私の考えをお伝えします。
プロの文筆家でも、エッセイ1本を1時間で完璧に仕上げるのは難しいはず。
ベストセラー・エッセイストのような方でも、日頃からアンテナを張ることで見つけたネタをもとに、さらに練って書いています。
即興で書くなんてことは、めったにないんですね。
それを素人が、その場で与えられたお題に対して、ゼロからの即興で書くことはハードルが高すぎます。
だから受験生は、自分なりのネタをみつけて、それをストーリーにしておく必要があります。
中には、即興で書いても、採点する人の心を惹きつける文が書ける人もいます。
本質的なテーマを即興でアウトプットできて、どんな人にも伝えられる文章表現のテクニックも自然と身についていて、その上で「この人と働きたい」と思わせる人柄を行間から感じさせる文章を書く人。
でもそういう人は、本当にまれだと思います。
私もいろんな出版社やメディアの方と交流がありましたが、「別次元のスゴイ人」と感じた人は長年の間で、ふたりだけ。
実際にその人の作文を見せてもらったわけではないんですが、話しているだけで、その人の発することばや文章は群を抜いて、
「核心をついて」「例えがわかりやすく」「論理的」「簡潔」で、「ユーモア」や「親しみやすさ」まで備えている。
そういう人は、マスコミ含めて競争率の高い企業にいくつも受かっていました。
企業にとって落とす理由が見当たらないような人です。
でも大丈夫。そうじゃない内定者が、九分九厘だから。
ある大手出版社の採用担当者が、どの受験生も「どんぐりの背比べ」と言っていたのを思い出します。
そういう中で、ほかの人よりもちょっと、キラリと感じてもらえばいいのです。
ちなみに、受験の対策本には3本用意するとか書いてあったけど私は2本しか用意できず、
そのうち、自信があった方の1本だけを、どの試験にも使いました。
中には、書類選考時と筆記試験時に計2回の作文があった場合には2本目を使いました。
1本ですべてのお題に対応できた理由は、「普遍的なテーマ」を使っていたからです。
それについては後々、詳しく解説します。
作文を書く上で大切なこと。
1 なるべく自分の体験(またはごく身近な体験)からストーリーを作る
2 平易な言葉で書く
3 うんちくを語ろうとしない
4 起承転結 または ストーリー性
1の自分の体験を書くというのは、実感が込もった話は、より説得力が出るから。
例えばこの文章を書いている私が、出版社を受けたことがなく、仮に建設業界の人だったら、読み手の受け止め方はまた違うはずです。
想像や評論のような話よりも、その人の体験であり、感じたことであるほうが、断然、説得力があります。
そして体験を書くと言っても、作文は「体験の内容のすごさ」を伝えるためのものではありません。
採点する側は、「すごい賞を取ったこと」が知りたいのではなく、「視点」「人柄」「伝え方」などが浮き彫りになるのが作文の特徴だと思います。受賞や経験のPRは、履歴書やエントリーシートにあるのでOK。
また、体験談ではなく、小説のようなストーリーメイキングに自信のある方はそれもいいと思います。
2、平易な言葉で書く、これは鉄則です。
採点者は、例えば編集長であったり、忙しい人が多いのです。
打ち合わせ、会議、来客、書類確認、など多忙な仕事の合間に読んだときに、
するする読める文章と、こねくり回した文章では、どちらが気持ちよく読んでもらえるか。
履歴書やエントリーシートは綺麗に書くことと同じです。
だから、字を丁寧に書くことと、ことばや文章の組み立てをシンプルにすることは、
相手にストレスを与えず、気持ちよく受け入れてもらうことになります。
そして、もし編集者になったら、読者にとって伝わりやすい文章を書いたり、ライターさんの文章を書き直したり、書き直してもらったりすることになるのだから。
3の「うんちく」語りは、日常生活でもあまり好まれることではないかも…?
出版社やマスコミの人が求めるうんちくは、その分野のエキスパートが発するうんちく、です。なぜなら日頃から、専門家に取材するのがお仕事だから。
だから、素人がもっともらしく語ることには冷ややかに捉えられてしまうと想像できます。
作文試験ではなるべく知性的に見せようと、知識を述べたくなるかもしれないけれど、知識ではなく、「感性」や「視点」を伝えたほうが、共感してもらうことにつながりやすい。
ただし、「私が研究してきた『××細胞』は…」というように専門的な用語を使ってストーリー展開する場合は、それが何であるのか説明を入れることは必須です。その場合も、『××細胞』についての知識を伝えることが目的なのではなく、『××細胞』というワードを使うことによって、自分の感性や考え方を伝えることが目的です。
そして「共感」してもらうこと。共感が、作文の目的といっても過言ではないはず。言い換えれば、読み手にしっかりと共感してもらえれば、その作文は受かったも同然です。逆に「この人の言ってることどうなんだろう…」と少し以上の反感を持たれたら、いくら文章テクニックがあったとしても、あまり良い結果は期待できないと思います。
4、起承転結。まずはそれをベースにわかりやすい文章が作れるよう、練習をすることをおすすめします。
人に伝え、共感してもらうために、もっともスタンダードなストーリー展開です。
これは、作文の本でスタンダードなものや自分にしっくりくるものを読んで、とにかく練習をする。
作文は、なるべく添削をしてもらうこと。それも、志望する出版社や、そこと似たマスコミ企業の人に見てもらえると尚良し。
私も学生時代、作文の添削をしてもらえるマスコミ受験講座を受けて、そこで出版社や新聞社、テレビ局などで働くプロの方々に指摘をもらえたことで、課題が把握できました。
さらに、自分の持ちネタをいろんなところに出して複数の目で添削してもらい、一つのネタを磨いていきました。
そうやって書いて、直して、表現のコツなどを教えてもらったり、としているうちに表現スキルが磨かれて、作文試験の時に、その場で持ちネタを上手に応用できるスキルまで磨かれるんです。
さて、では、応用できる持ちネタは何について書けばいいか。
それが前述した「普遍的なテーマ」について書くことです。
そう言うと漠然としているようですが、例えば「挫折をのりこえた」とか「人の優しさ」とか、誰もが経験したことがあるような感情が、普遍的なテーマです。
もちろん、「優しさとは~~」と評論を書くのではありません。それを感じた時の自分の体験を、わかりやすい言葉で再現して、ストーリー表現する。
読み手が自分の体験に置き換えて、「なるほど、そうだよなぁ」と共感してくれるように。
映画でも、感動的な名作といわれる作品のテーマは普遍的で、ストーリーもざっと述べられるようなシンプルなものだったりします。またそこには、ちゃんと起承転結もあるはず。
まとめると、こうなります。
まずは自分の身近な体験とテーマを設定し、どんな読み手にも共感してもらえることを目指し、その表現力を身につけるため、客観的なプロの視点での添削などを生かしながら、何度も練習をすること。
そしてその訓練は、仮に、出版社やマスコミ業界に就職しなくても、様々な場面で役に立つスキルになるのでぜひ頑張ってみてください!